● ピン位置調整の目的 ●
スパイクのピン位置を調整して左右バランスを整え、運動能力を高め、傷害をケア(予防と治療)する目的で調整を行っております。
● なぜ必要か? ●
もともと左右対称ではない人間の足に左右対称に作られたスパイクシューズによりベストパフォーマンスが得られない事は想像するに容易 いことと思います。
左右バランスを整えることは左右対称にする事ではなく、人間の足の合わせたうえ調整を施しベストパフォーマンスを引き出す事を意味しております。
● 陸上スパイクシューズ ピンの長さについて ●
100m、200m、400m、100mH、110mH、400mH用はピンの長さが8mmです。
固定式ピンと取り換え式ピンで構成されています。
●ボール部分直下のピン数は?●
ボール部分の下には3本のタイプと4本のタイプがあります。
中級者~上級者向きには3本、初級者、発育期は4本がお勧めです。
基本的考察
スパイクピン位置はどこが理想か?
小生の研究(※印)では足底接地面積が広く有効に使えています。
[高校陸上競技短距離ブロック選手の足底圧とその変化 中村雅宏 2010 発表]
※MTP関節直下にあるピンの位置が関節裂隙の直下から遠位2mm以内に位置する選手を ピン位置直下グループとし、その他は非直下 グループとに分けて接地面積を比較した。
またタータンにピンを押し込む、またひっかける動作が有効であろうとあろうと考えています。
写真はMTP関節(ボール部分)直下のピンを示しています。
MTP関節の関節裂隙(関節のすきま)を示しています。
この隙間から指先へ2mm以内を基本的理想位置と考えております。
応用的考察
基本的考察のみでは様々な現状問題を解決するには至っておりません。
そこで応用的考察が必要になるわけです。
問題として
・まっすぐに走れない場合
・早く回内する場合(足の内側にローリングする動きが早く始まるケースです)
・早く過回内する場合(足の内側にローリングする動きが必要以上にあるケ-スです)
・着地から蹴りだしのレスポンスが悪い場合
・筋力不足な場合
・接地時間を補正する場合
・筋力特性を生かす場合
・内ふまず長の左右差を補正したい場合(踵からMTP関節の隙間までの左右の長さの違いが3mm以上あるケースです)
内ふまず長の差が3mmあるケース
右足長-232mm・右内ふまず長164mm(写真右側)
左足長-228mm・右内ふまず長161mm(写真左側)
左足に3mm厚パッド貼付例です。
これらの問題を解決する手段として下記のスパイクピン位置調整があります。
スパイクピン位置調整の例
①スパイク後足部 かがと部分にパッドを作製して貼付します。
1mm~3mmの厚さを1枚から2枚です。形は踵骨の形状により変化します。
②パッドを貼付したところ。写真は2mm厚ですが削り加工を施してあります。
③完成です。1週間単位の微調整を施しベストパフォーマンスを獲得しましょう!